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注射器のはなし

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HUAWEI Mate10 Pro ISO800 F1.6 1/17秒

いやあ、いよいよ今年も終わりますねえ.。やっとPCの前に座って
ゆっくりブログが書けます。

さて、今日のはなしは注射器であります。

先日、注射器の箱を何となく眺めていたら、各部の名称が書いてあったんです。
僕らはシリンジと呼びます。Syringeですな。

でも、各部の名称を知っている同業者は多分ほとんどいないでしょうね。
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指をひっかける部分はフィンガーフランジ。押し込む部分はプランジャー。
薬液を押す黒いゴムの部分はガスケット。

ほとんど日本語化されてませんね。しかも各名称から受ける印象は、
工業製品そのものです。ガスケットって(汗)

注射器の起源というテーマで検索すると古代ローマの"De Medicina"(医学論)には
すでに、注射器に関する記述がある…。

色んなところで、そう書いてあるんだけどホンマかいな。2000年まえでっせ?

調べてみると現在ネット上でDe Medicinaの原文と英語訳が
公開されていました(ネット万歳!)

とりあえず全部斜め読みしてみたんですけど、
注射器うんぬんより、その内容の面白さに感服。

膀胱にたまった石(膀胱結石)の手術の記述がスゴイ。
「まず、屈強な男二人が片方ずつ患者の足を持って…」麻酔無しかよ!

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これは、1753年、イタリアの画家Gaspare Traversi作。(Wikipediaより)
1700年経ってもこの状態。地獄ですな。昔に生まれなくて良かったよう。

注射器の歴史は針の歴史…とは誰も言ってないけど、
技術的に中空の針を作るのはすごく難しい。

17世紀に活躍した英国の建築家クリストファー・レンはガチョウの羽軸を
針に使って犬に静脈注射を試みてます。

これは彼のオリジナルではなく、コロンブス到達前の南米で、既に鳥の羽軸と
小動物の膀胱を用いた注射器があったようです。

我々が見慣れている注射器の原型は1851年に登場。
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英国人の医師、アレクサンダー・ウッドが鋼鉄製の針、
ガラス製の注射器を使ったのが最初。

今はガラス製の注射器はあまり見ないですね。
ほとんどがポリプロピレン製の使い捨て。

実はガラスのシリンジは慣れないと使いにくいのです。

内筒と外筒の摩擦がほとんどないので、不用意に持つと、
中の薬液がすべてこぼれてしまうのよ。研修医はまずこれに戸惑う。

でも、摩擦がない=組織を貫いていくときの抵抗を鋭敏に感じ取れる。
つまりセンサーとして優れており、麻酔科医には必須のアイテムです。
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注射を用いた治療中、気分が悪くなり冷汗びっしょりでふらふらになってしまう人がいます。
針恐怖症というやつですけど、これはちゃんとした病名として認知されてます。

個人的には元気そうな若い男の子に多い感じがあるなあ。
たいていはしばらく休んでもらえば大丈夫ですけどね。
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注射針といえば、ナノパス33…って、何のことだかわからないか(汗)
iPodを抑えてグッドデザイン2005大賞を受賞したんです。

僕らが採血の時使う針は直径0.7㎜。このテルモ製の針は0.2㎜しかない。

細い中空のパイプを切ったんじゃなくて、先に行くほど細くなる構造。
内腔も徐々に細くなってるところがミソ。すごい技術だよね。

開発にあたっては、たった社員6人の岡野工業の存在が大きかったのは
有名な話。名物社長のべらんめえ口調が痛快です。

ナノパス33は、その後ナノパスニードルⅡへ進化。
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片方は日本刀のごとく反りがあって、もう片方は槍のように鋭い。
この超絶技巧が、わずか0.18㎜の細さのなかで炸裂している。

もう何だかよく分からない世界です。
ともかく痛くないのは素晴らしいことですね。
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そろそろ、2017年も終わるし、まとめに入らなきゃいけないんですけど
何で注射器の話を始めたか忘れてた(汗)それはつまりプランジャーよ。

注射器の中の薬液を押す棒の部分。これをプランジャーと呼びます。
なんか語感が好きなのです。Plunger!

ちなみに英語版のWikiを検索するとこれが出てくる。
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トイレが詰まった時に使うゴム製のカッポン。これもプランジャーなのね…。
使用感があるのがやな感じ(爆)

ちなみに洋画を見てて、Plungerという言葉を聞いたことは一度しかない。



状況を説明すると、ギャングのボスの妻ミアがヘロインの過剰摂取で
意識不明の状態。一緒にいたヴィンセントは売人のランスに助けを求めます。

そこで、ランスが出してきたのが救命セット(瓶にはアドレナリンと書いてある)
乱暴にも心臓に直接針を刺せと指示します。1分10秒くらいのシーン。

「 Then once you do, push down on the plunger.」
-心臓に刺したら、プランジャーを押すんだ!

そう、これっきりなんだよなあ。あんまり一般的な単語じゃないのかもね。
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さて、きっかけがプランジャーだという説明は終わったけどますますまとまらない。
ひでえもんだよ。

誠に申し訳ない。ぐだぐだの状態のまま暮れていきますねえ、2017年。
数えてみたら、今年書いたログは235。結構頑張ったなあ。

これも読んでくださった皆さんのおかげです。感謝。
それでは皆さん良いお年を。



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コメント

No title

センセ、こんばんは。
お医者様ならではのお話、興味深く拝読させて頂きました。
もちろん私はシリンジもプランジャーも知っておりました。注射器は大嫌いなんですけどね。
その昔、自作PC(当時はDOS/Vなんて呼ばれていましたが)でCPUとクーリングファンの接合部に熱伝導用のグリースを塗布しなければならなかったのですが、そのグリースを封入した注射器の説明文(英文)に、このシリンジとプランジャという単語が出てきたのを憶えております。
テルモの超微細針の話しは有名ですよね、よくもまぁこんなものが作れるものだと感心してしまいました。
でも、幾ら細くなっても、刺すときの痛みと薬液注入時の痛みは無くならないようですね・・・そこんとこ、何とかしてもらいたいものです。たとえば、ぺったんと貼ったら薬液が皮膚から浸透していくとか(^^;)

さてあと5時間少々で新年です。
旧年と何ら変化なく、ただ単に暦が新しくなるだけのことなんですが、それでも今より少しはマシな年になって欲しいと願います。
年末年始、センセの病院が少しでも儲かりませんように、そしてご家族と過ごす時間が1分でも多くなりますように。

No title

パノラマセンセイ、こんばんは
注射の話し、とても勉強になりました
膀胱にたまった石の手術の絵画傷みが伝わって来る様でリアルですね~
50年くらい前でしょうか、風を引き医者に行くと、殆ど診察せずにいきなりの注射!
しかも肩に深く入れたり、お尻に刺したり兎に角、医者=注射、この構図が嫌でしたね
と言うか今でも嫌です、健康診断の採血時も針を見たことがありません、入射角はどのくらいとか何mm入れたとか、人により変わるんだろうな~と思うとみたく無くなるんですね^^
採血の注射針って刺す時より、抜く時の方が痛いのは何故なんでしょうね~
今年は色々お世話になりました、来年もよろしくです、良いお年をお迎えください。

Re: No title

だっくさん

おお、だっくさんはご存知でしたか。すると僕の思い込みで実は一般的な知識…なわけないですね(笑)
だっくさんは意外な分野も詳しい方ですからね。しみじみ。
いつぞや、お顔に表面麻酔をしてみましたが、バリバリになるばかりでダメでしたね。
粘膜と違い、やはり皮膚はなかなか手ごわいようです。34Gともなると、刺すときの痛みはほとんど
ありませんよ。ただ薬液で組織が押し広げられるときの不快感はどうにもなりませんね。
今年は河原にとって大変な年でした。来年はCM席がきれいになって戻ってきてほしいですね。

Re: No title

ASKさん

そうそう!抜くとき痛いですよね。あれは、採血する方も、やれやれ終わったあなんて気が抜けて
つい雑になるんです。実はゆっくり抜いたほうが痛くないはず。
ちなみに刺してる方は、痛くないのか、痛いけど我慢して何も言わないのかはわかりますよ。
しばらくじっと耐えてる方でも、あまりにも長く苦痛が続くと堰を切ったように恨みの言葉が(汗)
あなたは痛くするからヤダなんてはっきり言われる経験を通してプロになっていくんだと思います。
なんだか大晦日に妙な話になってしまいましたが、今年はASKさんと色々お話しできるようになって
河原がさらに楽しくなりました。来年もよろしくお願いします。

No title

う~ん、今日も面白かった^^
2018年もよろしくです。。

No title

はじめまして。
製造業では接着剤、グリース等を多用していて、
塗布はディスペンサー(液体定量吐出装置)を使います。
先端にニードル + シリンジをつけて使います。
シリンジに接着剤、グリース等を入れてニードル先から定量吐出します。
ニードルは樹脂製と金属製があって用途によって使い分けてます。
ニードル径は注射針と同じく単位はGです。
製造業関係の人は知っている人多いと思います。


こんばんは、おめでとうございます

僕は幼稚園の時から一人で大学病院に行って
ブドウ糖の注射を打ってもらって居ました~
要するにボクは虚弱体質であったのですね。
ブドウ糖の液を入れた注射器の針が自分の
血管に入って行くのをいつもしっかり見て居ました
ブドウ糖って、注射液が血管に入ると独特の匂いがします
幼いころからリンゲル注射などを太ももに打って居たので
ただの注射は怖くも何ともありませんでした
注射器は今や使い捨て時代ですので、お医者さんは
管理したり、捨てたりするのに神経を使いますね
もしも子どもが遊び道具に使って肝炎などに感染したら
大問題ですものね~
ナノパスニードルⅡって、1本お幾ら位するのですか?

Re: No title

monopodさん

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします、隊長!

Re: No title

ひなもりももさん

こんばんは。初めまして。コメントありがとうございます。というか明けましておめでとうですかね。
>ニードル径は注射針と同じく単位はGです。
おお、そうなのですか。初めて知りました。医療用は、Gによる色分けも最近になって
やっと統一されたりだとかで、むしろ工業製品としての
歴史と用途のほうが色々あって深いようですね。勉強になります!

Re: こんばんは、おめでとうございます

TKNさん

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
注射の様子をじっと見てお有れる方、ごく少ないのですがいらっしゃいます。
子供でも怖がらずに興味深げに針を見ている子もいますね。将来はお医者さんかな?
といつも声をかけています。みんな嬉しそうに笑います。実は医者はたいてい痛がりなんですけど(笑)
貧しい国だと、使用済みの針を地中深く埋めないとダメという話を聞きました。
でないと子供たちが持って行って売るんだそうです。その際に針刺しして感染するという哀しい話です。
ナノパスは70本2100円らしいです。高い…。
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