2018/03/30
M140i M3より速い1シリーズ

ともかくたまげた。それが最初の感想です。
いまどき、こんな荒々しい加速をするクルマがあるなんて。
静止状態から、アクセルをいっぱいに踏み込むと、お尻を左右に振りながら
ロケットのように加速します。BMWの1シリーズなんだぜ?

現代の車って、様々な電子制御で、アブナイ事は起こらないようになってる。
ホイールスピンすらなかなか起こせない。
このクルマは違う。雨の日の全開加速は相当覚悟が要ります。
そのすさまじさは、間違いなく僕のM3(先代モデル)より上です。

調べてみると先代のM3はV8で420馬力。これで0-100㎞は4.8秒でした。
M140iは…4.6秒!やっぱり気のせいじゃない。
このクルマはものすごく速い。しかも暴力的に(笑)
エンジンフードを開けてみる。

何も見えない (汗) 最近の車ってみんなこうだよね。
カバーを開けてみよう。
おお、本当に6気筒です。

直6が縦置きされて、前輪の車軸を超えて運転席にめりこんでる。
1シリーズという小さなボディに6発。無茶するねえ。

ちなみにこのエンジンは5や7シリーズにも採用されてるものと
同一です。3Lのツインターボ。340馬力。
狭苦しいとこに無理やりハイパワーエンジンを
押し込むというのは、何やらわくわくしますよ。初代GT-Rみたいじゃんか!

直6という長いエンジンを縦置きするとその分スペースを食われます。
大きな車ならともかく1シリーズのボディには結構厳しいはず。
その分、車内やトランクスペースが犠牲になるのではないか?

ところが、トランクは十分に広く感じます。デジスコや大砲も楽々のみこむ。
これなら家族旅行も普通にこなせそうです。
車内はどうか。感激するのはメモリー付きの電動シート。
調節幅が広く、好みのポジションを取れます。安物感は全くなし。

ただ、このハニカム柄はちょっと…なんか魚皮っぽくない?
リアシートに乗って、ああやっぱりなと。
狭いです。

僕は短足なんで、思いっきり前にシートを出します。
ドライバーが小柄短足でやっとこれくらいのスペース。
運転席に大男が座ると、後ろは子供専用になりそうです。
縦置きの6気筒のしわ寄せはトランクではなくリアシートに来たわけですね。

ところで、この車は結構静かに感じます。
思いっきり踏むといい音がしますが、かなり控えめ。
普段はハイパワーエンジンの存在を意識することはほとんどありません。
でも、外で聞いている人にきくと、それなりに大きい音がするそうです。
特にエンジン始動時は、うちの家族は顔をしかめてましたから。

室内ではまるで分らない。かなり遮音が優秀なようです。
ATは8段です。パドルを操作すれば、マニュアルに切り替わります。
250㎞でリミッタが動作。(これはM3も同様)
欧州車は鈍足セダンでも260㎞まで目盛りが振ってある。
スピードメーターは計測器じゃなく妄想量を測るモノになってる。
でもM140iはちゃんと250出せるわけです。
これなら景気よく300くらいまで目盛りを書いてもいいと思う。

長めに借りることが出来たので、片道150㎞のロングドライブもしてみました。
走る前は意気込んでたんです。ハイスピードドライブを満喫じゃ!
結果的には、ものすごくダラダラ走ることになりました。
何故って、ATが凄く頭がよくて、何にも考えなくてラクに走れるんです。
ハイパワーなエンジンに優秀な変速。ゆったり走るのがとっても気持ちイイ。
ハイウエイクルーザーとしてもいける。
少し眠くなったら、料金所で全開ダッシュ!
動画だと今一つ伝わらないんですが、全開加速では必ず直ドリ(汗)
左右に尻を振りながらのロケットスタートで毎回笑ってしまう。なんてデタラメなんだ!

ボディのそこかしこに散りばめられた「M」の文字。
カッコいいロゴなので、後付けパーツとしても人気です。
しかし、これがついたクルマに対する印象は良くない。

硬すぎるアシと、これのどこがシルキーなの?というやかましく
がさつなエンジン。僕が経験してきた「M」はそういうクルマでした。
特に「Mスポーツ」というグレードには偏見がありました。
「M」からパワーを取り去って、足だけはガチガチのまま。
でもM140iはそういうネガティブな印象を一気に払拭してくれました。
買い物も、スポーツ走行もこれ一台でこなせる。

じゃあこれを買うかっていうと、かなり勇気がいる。
M140iの新車は乗り出し600万以上。なのに全然高そうに見えない。
初代1シリーズの中古って30万円くらいからあるんです。
見た目はそれとあんまり変わらない…。
これ、何とかならないですかね。
AUDIも、見た目は普通のワゴンで中身は化け物っていうの出してる。
そういうさり気ないのがカッコイイという美学なんだろうね。
個人的には足軽と侍大将が同じヨロイっては、あり得ないんですけど…。