2012/01/24
昭和ひとケタ

GXR MOUNTA12 SUMMILUX 35mmF1.4
父が退院して間もなく、また入院。
きっかけは急激な腹痛。
腸管は麻痺しており、症状は思わしくない。
驚異のタフネスを誇るわが父も、いよいよ…。
家族皆で覚悟しました。
緊急手術、開腹してみると腸から2本、
魚の骨が突き出ていいまして。
「あーこれはタイですねえ。」
外科医の声が空しく響く。立ち会っていた自分は
がっくりうなだれて言葉もなし。なんで骨まで食べるかねえ…。
一転して家族の非難を一身に浴びる父。
数週の入院を経て、退院するもまたしても激しい腹痛。
またしても腸管麻痺。業界用語ではイレウスといいます。
父に聞くと、家の冷蔵庫にあった焼豚を食べたらしい。
退院してすぐチャーシュー。とほほ。そりゃあお腹も
ビックリするよ…。

昭和一桁の世代は飢餓世代とも言われてます。
父もイマ食べないと、今度いつ食べられるかわからないという
切迫感に満ちた少年時代を送ったようです。
満腹でも、テーブルの上の饅頭は全部食べてしまう。
あげくに糖尿になったり。
若い頃に経験した飢餓というものは、心の奥深くに
刻まれるようで、そう簡単には消えないもののようですね。

エビフライはひとり2本まで、イチゴは3個まで。
ケンカにならないように母がしつこくいっても
兄貴が僕の分をかすめとる。
とられた僕が泣くと、父は決まってこういいました。
「わかったか。これが社会の厳しさだ」
あなたは兄を叱る立場じゃないのかよ!
変なことばっかり言ってさあ。
今考えると、イモひとつでつかみ合いのケンカをする
大人たちをみて育った世代ならでは、の考え方かも。
でも家の食卓でそんな話はされたくないよな。
やっぱり間違ってるよ。方向が。
やなせたかし氏(アンパンマンの作者)によると
「究極の正義とはひもじいものに食べ物を与えることである」
というのがありまして、シンプルながらも非常に深い。
氏も軍隊で飢餓を経験されています。
ここはぜひWikipediaの「アンパンマンと正義」をご一覧
頂きたい。「正義」という厄介なものに、シンプルでとても深遠な解を
与えておられます。
ともかく結婚式のタイ、特に骨には注意しよう。
キケンだ…。