レンズの歪みと強迫観念

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Makro Planar T* 2/50 ZF α7ⅡS
PCニッコール19㎜を買って以来、今まで全く気にしていなかった垂直線がやたらと気になるようになってしまった。いまや、50㎜レンズで撮影する時でさえ、気になって仕方がない。この画像も現像時に徹底的に補正した。もはや病気である。DSC00843.jpg
PC NIKKOR 19mm f/4E ED α7ⅡS
単に垂直線の補正だけでは飽き足らず、レンズ自体の歪みも気になってくる。写真の中身はいつの間にか置き去られ、歪みのないスクエアな画面を作成することに熱中しだす。これでは本末転倒ではないか…しかし、完璧な画面を得たときの満足感というか、心の平安を知ってしまうとそうも言っていられなくなる。これには麻薬的な魅力があるのだ。DSC00782.jpgこだわりや習慣は誰でも持っている。机の上のものが整然と並んでいないと気持ち悪い。出かける前にコインを特定の組み合わせで財布に入れる。そういうのあるでしょ?数字にこだわる人は多いようで、TVのボリュームを必ず末尾が0になるように調整するとか消耗品は必ず3つずつ買う、とか。レンズのシリアル番号にこだわりのあるヒトを知っているが、希望のナンバーを追い求めて途方ない金を時間を使っている。しかし本人はシアワセそうなので、それでよいのだろう。DSC00938.jpgしかし、こだわりも度を超すと病気になってしまう。一番有名なのは不潔恐怖と言われるもので、電車のつり革や手すりが触れなかったり、手に付いた汚れが気になって、血が出るまで手を洗い続けてしまうといったものだ。映画「アビエイター」では主人公がどうしてもトイレのドアノブが触れず、誰かが入ってきてドアを開けるのを待っているシーンが出てくる。うちの姉もこの傾向があって、部屋を何時間も掃除した挙句、「ここは無菌コーティングされている場所だから入らないで」と言い放っていた。本人もこだわりの中身が非合理だと分かっているのだがやめられないところに、この病気(強迫神経症)の辛さがある。DSC00968.jpg幸いというかやはりというかPCニッコールを使用しての「補正ブーム」は早くも自分のなかで終わりつつある。あれこれ気にしていると、ひどく疲れてしまうし、何を撮りたかったのか忘れてしまう。垂直線の確認はほどほどにして気に入ったカットが撮れたら、それで終わりにするようにした。飽きっぽい性格に生んでくれた親に感謝したい(爆)


ニコン PC NIKKOR 19mm f/4E EDを素人が使ってみるとこうなる

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ニコン PC NIKKOR 19mm f/4E ED α7ⅡS

シフトとアオリ操作の出来るレンズを10年ぶりに購入しました。デカくて重い。三脚併用だと、すぐ使わなくなるのは以前にも経験済み。しばらくD5につけて手持ちで頑張ってましたが使いにくいこと、この上なし。MFレンズなんでライブビュー必須だし、重くて手がしびれてくる。今は、α7ⅡSと組み合わせてます。これなら手持ちでもイケる。P2070003.jpg圧倒的な存在感ですね。前玉は魚眼レンズ風の張り出し。レンズ剥き出しのまま持って歩くと、どこかでゴッチンとぶつけそう。面倒がらずにキャップをしたほうが良さそうです。フッ素コートで、汚れは付きにくいとのこと。P2070011.jpgマウントアダプタ経由なんで絞り操作ができません。常に開放F4での撮影になります。それでもα7で撮るほうを選ぶ理由は

・手ぶれ補正が効く
・軽量で手持ち撮影が可能。
・EVFでシフト、ティルトの効果が容易に確認できる。

そろそろニコンもフルサイズミラーレス出してほしいよね。風景派にとって、巨大なペンタプリズムは無用の長物です。ショックレスの電子シャッターと精密なピント合わせの出来るEVFこそ必要とされてるわけで。

久しぶりにティルト/シフトの操作したんで、すっかり使い方忘れてました。まずは一番使用頻度の高い、上方向のシフトから復習開始。P2070010.jpg
シフトを操作するノブをくるくる回すと、レンズ本体だけがカメラより上にスライドしていきます。この状態をライズと呼び、上すぼまりの歪みが無くすことができます。DSC00542.jpg補正前の作例がこちら。超広角レンズらしいパースがついてますね。建物の上方がすぼまっています。限界までライズを効かせるとこうなる。DSC00539.jpgシャキッとまっすぐになる。結構ドラマティックな変化ですよね。これは、現像ソフトでも可能なんですが、専用レンズでやるメリットとしては

・レタッチ処理と違って、トリミングによる画素ロスがない
・仕上がりを現場で確認できる。
・脳が揺れる(笑)

僕のような素人の好事家にとっては、3番目が一番重要ですね。歪んでた建物が、強制的にビヨーンとまっすぐ伸ばされていくさまは、なかなか見応えがあります。やりすぎると不自然になってしまいますが。DSC00579.jpg新しいおもちゃを貰った子供のようなもので、試したくて仕方がない。長い垂直線はないか町中を探して歩くことになります。高い天井の回廊とかね。実際、垂直線が真っすぐになっているのはなかなか気持ちの良いものです。
これは補正前。DSC00316.jpgこれが補正後です。シャキーン!DSC00321.jpg片っ端から補正してみましたが、毎回やろうという気にはならないなあ…。強烈なパースも、超広角の味ですよね。それはそれでOKかな、と。几帳面な人には、ぜひこのレンズを。小学校の時、先生が机をキッチリ直線に並ぶように直してたでしょ。「おーい。この列ズレてるぞ。」アレですよ。ああいう何気ない瞬間に、日本人の几帳面さが育まれる(笑)P2090017.jpgお次はティルト。シフトが光軸を水平にずらすのに対して、ティルトは任意の方向に傾けることが出来ます。下向きにティルトさせると、奥行きのある平面全体にピントを合わせることが出来ます。DSC00640s.jpgオオゴマダラの標本を撮ってみました。ソニーのボディなんで、絞ることが出来ません。F4開放です。やはり奥の方の翅はボケてしまう。少し下向きのティルトをかけると、全体にピントが合うようになります。名称未設定-1ティルトを使えば、過度に絞り込むことなく、ブツ撮りが出来ます。PC-E19mmは角度制限なく、ぐるぐるレンズが回転する(レボルビング)ので、任意の方向にピント面を向けることが出来るわけです。P2090029.jpg超グネグネ(笑)もっとも、こういうのは19㎜レンズの仕事じゃない。45㎜とか85㎜のPC-Eニッコールを使うべきなんでしょう。19㎜ってほとんど建築写真専用なんじゃないですかね。

さて、ティルトを上向きにすると、ミニチュア風に風景を撮ることが出来ます。10年くらい前にTS-Eレンズを使ってミニチュア風の写真を撮るのが爆発的に流行ってたんです。ご多分に漏れず、僕も購入。TS-E24mm F3.5LとEOS20Dの組み合わせでした。ブームの火付け役は本城直季さんの写真集「Small Planet」だと記憶してます。(2006年の木村伊兵衛賞作品)P2090006.jpgこんな風に上向きにして、展望台に登ってはミニチュア風撮影に熱中してました。
 ブームが去った後、中古カメラ屋にTS-Eレンズがずらりと並んでいたのは、諸行無常の感がありました。流行りが一過性に終わったのは、撮影の難しさにあると思います。民生デジカメ程度の被写界深度ではミニチュア風に撮ることは難しい。受賞作は大判カメラで撮ってたはずです。その後カメラ内フィルタで撮れるようになったのですが、処理が雑なものが多く、これも全然ミニチュアに見えません。相当工夫しないとダメ。以前撮影したミニチュア風動画を紹介。タイムラプスを併用すると何とかそれらしく見える。コツとしては、処理前からオモチャっぽく見える風景を探すこと。もうこれに尽きます。今回も挑戦してみたけど、やっぱし難しい。DSC00396w.jpgクリックでちょっと拡大。かなり微妙な出来(汗)。コントラスト上げたり、ハイキーにしたり色々やってみるとまた違うのかも。根気が無いのでこれで終了(爆)

久しぶりにシフトやティルトの出来るレンズを購入しましたが、画質の良さにびっくりしました。普通の単焦点レンズとしても相当優秀。さすがにSonyのボディだとシフト/ティルトしたとき、画面端は甘くなりますけどね。遊びで買うにはあまりにも高価なレンズですが、キリッと垂直線が立つ感じは麻薬的な気持ちよさがあります。クルマのドアとかボンネットのチリがきちんと合ってないと気持ち悪くて仕方ない…という几帳面な方には激おすすめです。





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