2023/03/24
α7R Vはα1の代わりになるのか?

ソニーの最新型にして、最多画素数機=α7RⅤ
こいつを借りてつかってみた。
α7RⅤと聞いて、スペックが頭に浮かぶ人は相当のマニアだ。
ソニーユーザーの僕ですら、同じような型番ばかりでサッパリわからない。
ともかく、フルサイズ機ではこのカメラが今のところ一番の高画素である。
有効画素数は6100万だ。

借りたのはマップレンタル。価格は1日1万5千円である。
ちなみに来店日と返却日はカウントしないので、実質3日借りてこの値段になる。
最初に手に持って感じたのは「α1よりゴツイ」
明らかにグリップが太く、表面のざらつきが強い。プロのツールという感じだ。
大きさ、重さはα1と、たいして変わらないのだが。
α1は小さくて持ちにくいという意見もあったので、それに配慮したのかも。

液晶は、4軸マルチアングル液晶。(α1はフリップアップ)
どっちがいいかは永遠の話題。
僕は暗所で液晶の光をシャットアウト出来るマルチアングルがいい。
借り物の液晶を傷つけないで済むし(笑)

α7RⅤの被写体認識は、昆虫にまで対応。しかも全体と頭部を
分けて認識できるらしい。ゴイスー。
とはいえ、何度も言ってるが、動体にはあんまり効かないので
僕は重要視してない。動物園では重宝するだろうが。
まずはSEL400F28GMで撮影してみる。9504x6336というとてつもない
データ量で、JPGでも36Mある。圧縮RAWなら60Mだ。
そんなデータはとても載せられない。必要に応じてクロップする。

河原の石を撮影。α1とα7RⅤで撮り較べてみた。
1200x1600に切り取ったものを並べてみる。

2回クリックで等倍。
6100万画素と5000万画素。同じサイズに切り出すと
α7RⅤのほうが望遠効果が強く出る。
トリミング前提の鳥撮りには、画素はいくらあってもいい。
ただし、それに見合う解像力を持つレンズを使うことが前提だが。
連写速度は10コマ/秒。電子シャッターでもパラパラとブラックアウトする。
α1を使い慣れていると、物足りないが、普通に使う分には十分以上だ。

遠くの枝のモズ。400㎜でもこのくらいの大きさにしか見えない。
これを、2400x1600までガリガリ削ってみる。

2回クリックで等倍。
かなり細かいところまで描写している。暴力的なまでの
画素数の力を見た感じだ。
上空を飛ぶミサゴ。

2400x1600にクロップ。
2回クリックで等倍。

感心するのはAFがとても素早いこと。
ストレスを感じることはほとんどない。
ただ、背景に引っ張られやすい傾向があって、
この辺はα9やα1とは、アルゴリズムの違いを感じる。

使っていて、「このカメラは使いにくいなあ」と思った点が一つ。
それは、上限1/8000秒というシャッタースピードだ。(メカ/電子共通)
α1は1/32000sまで対応する。そんなとこ使うか?と思うかもしれない。
しかし、大口径レンズではしばしば1/8000sを振り切ってしまうのだ。
ブレを排除したいから、SSは速いほどいいという考えが染みついている。
なので、めったに絞ることはない。画質とのバランスでISOは640が多い。
別に超望遠レンズでなくても、日中に50㎜F1.4でスナップするときなど
シャッタースピードがほぼ無制限に上げられる仕様はとても便利なのだ。
今回の撮影中は、1/8000sを超えるたびに、ISOを落とさねばならず
イライラした。もちろん、この辺はISOオートにすればどうにでもなるわけだが。
ただ、電子シャッターなのに、なんで上限が8000なのか謎だ。
センサーのスキャンレートのせいなのか?

α1のセンサーに較べると読み出し速度が遅いのではないかという
はなしをどこかで聞いた。
しかし、試しにパンニングしながら、静物を撮ったりしたが
ディテールが溶けることもなく、そんなに遅いセンサーという感じはしない…。
撮影していて思ったのは、ブレやピンずれに極めて
過敏なカメラということだ。

このシーンも、サギが動くたびに顔からピンが外れて甘くなって
しまうことが頻発した。α1だと、まず外さない場面だが。

等倍までクロップ。極めて精緻な描写。
止まりものならこのカメラに優るものなし。
飛び立つ瞬間。

顔面を等倍クロップ。

少しでもピンがズレたり、ブレたりすると甘くなる。
ピタリと追尾しないと解像しないのだ。
このあたりは、超高画素機「あるある」と言える。
そういうものだと諦めるしかない。
休みなく測距・連写を続けるα1と較べると、α7RⅤの合焦率が下がるのは
ある意味当然の結果ともいえる。やはり得意分野が違うのだ。
鳥撮りと風景の両方を狙うなら、無理をしてでもα1を選んだほうが良いだろう。

α7RⅤは、既存のボディに較べて、大幅にEVFの性能が
上がっているらしい…実際、そのようだ。
だが使っているうちに、慣れてしまって、毎回感動したりはしない。
α1やα9のEVFはシャッター半押しで、森や水面にブロックノイズが出る。
とてもフラッグシップ機とは思えないが、これもすぐ慣れる(笑)
ファインダーは大事だが、その先にあるものはもっと大事だ。
次回は50㎜なのに実売28万円という超ド級レンズを試す予定。